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Webディレクター/デザイナーtakasyiのシネマアーカイブ。単純に観た映画を覚えとく手段のひとつになるメモ書き程度のテキスト。休みの前の日に、夜中遅くまで映画観るのとかたまらんですよね。

スーパー! / SUPER

SUPER

4

2010年 / アメリカ
監督:ジェームズ・ガン
脚本:ジェームズ・ガン
出演:レイン・ウィルソン / エレン・ペイジ / リヴ・タイラー / ケヴィン・ベーコン / ネイサン・フィリオン / グレッグ・ヘンリー / マイケル・ルーカー

まさに劇中に出てくる“コマとコマの間”を、痛々しく荒々しく哀しさも残すように表現した一本でした。冴えない夫フランク(レイン・ウィルソン)とセクシーでイカれたジョック(ケビン・ベーコン)のビジュアルとキャラが絶妙のバランス。両者が卵料理を食べてたシーンなんかはドキドキしました。クリムゾンボルトの相棒になりたくて必死なボルティーを演じたエレン・ペイジも最高じゃないですかコレ。

ジェームズ・ガン監督が話す“ぶっ飛んでいる”とか“道徳的に見て怪しい”という部分の表現で好みも分かれるところでしょうが、実際にひょんなことをキッカケに“スーパーヒーロー”に憧れて行動したら、こんな具合になるだろうっていうリアルさがある。列に割り込んでくるヤツを半殺しにするとか、正義という名のもとでとった行動とはいえ、一歩退けば“狂気”になる。

その“狂気”という名の火に油を注いだのが相棒のボルティーで、ジョックの館に乗り込むクライマックスでは壮絶なバトルが繰り広げられる。

そしてあのエンディング。“スーパーヒーロー”を志した者が進む道は、ああいうものなのかもしれません。

話題をかっさらった『キック・アス』に便乗したパチもんなんじゃねーの?的なイメージが先行しがちではありますが、まったく異なるアプローチでとてつもなく面白かった。繰り返し観たいヒーロー映画の1つになりました。

英国王のスピーチ / THE KING'S SPEECH

THE KING'S SPEECH

4

2010年 / イギリス=オーストラリア
監督:トム・フーパー
脚本:デヴィッド・サイドラー
出演:コリン・ファース / ジェフリー・ラッシュ / ヘレナ・ボナム=カーター / ガイ・ピアース / ティモシー・スポール / デレク・ジャコビ / ジェニファー・イーリー / マイケル・ガンボン / ロバート・ポータル / エイドリアン・スカーボロー

ひとりの人間同士、友人同士、男同士のぶつかり合い。お見事でした。ジェフリー・ラッシュ最高。

アンノウン / UNKNOWN

UNKNOWN

3

2011年 / アメリカ=ドイツ
監督:ジャウマ・コレット=セラ
脚本:オリヴァー・ブッチャー / スティーヴン・コーンウェル
出演:リーアム・ニーソン / ダイアン・クルーガー / ジャニュアリー・ジョーンズ / エイダン・クイン / ブルーノ・ガンツ / フランク・ランジェラ / セバスチャン・コッホ / オリヴィエ・シュニーデル

なるほどなるほど、そういうことになるんですか。

ハリスの危機回避能力が尋常じゃないあたりからぷんぷん臭ってはきたものの、疑問にもなっていたいくつかある伏線もきちんんと繋がっていって楽しめました。

事故って断片的にしか記憶がなくて、自分のことを知ってるはずの周りの人間に「お前なんか知らねーよ」と言われ続け、アイデンティティを失っていく序盤でハリス同様の疑似体験と感情移入をさせつつの中盤〜終盤はうまい構成だなと。
鑑賞後に冷静に振り返るとなかなかのムチャクチャ設定に思うけど、劇中ではあまりそういう面を感じずにさくっと観られる2時間。前の奥さんも新しい奥さんもキレイでした。

まぁ、なにはともあれ、空港に忘れ物だけはしたくないところです。っつうか、組織の中でもデキるヤツが、あんな大事なもん忘れんなよ。

ゴールデンスランバー / GOLDEN SLUMBER

ゴールデンスランバー

4

2009年 / 日本
監督:中村義洋
脚本:中村義洋 / 林民夫 / 鈴木謙一
出演:堺雅人 / 竹内結子 / 吉岡秀隆 / 劇団ひとり / 柄本明 / 濱田岳 / 渋川清彦 / ベンガル / 大森南朋 / 貫地谷しほり / 相武紗季 / 永島敏行 / 石丸謙二郎 / ソニン / 木内みどり / 竜雷太 / 伊東四朗 / 香川照之

頭の片隅ではご都合主義的感は否めず、荒さもちらつく印象は受けたものの、いろんな伏線が繋がるお話として興味深く観れました。脇役のキャスティングがむちゃくちゃイイですね。容疑者の自宅に押しかけたマスコミを親父が一喝するシーンはスカッとしました。痴漢は死ね。北に行くのがロックみたいです。

ハンナ / HANNA

HANNA

4

2011年 / アメリカ
監督:ジョー・ライト
脚本:セス・ロクヘッド / デヴィッド・ファー
出演:シアーシャ・ローナン / エリック・バナ / ケイト・ブランシェット / トム・ホランダー / オリヴィア・ウィリアムズ / ジェイソン・フレミング / ジェシカ・バーデン

ジョー・ライトが“不思議な天使のようだ”と語る16歳の少女ハンナがスクリーンいっぱいに広がる。『ハンナ』のイントロダクションでもあり大きなポイントともなる“新たなヒロイン像”となったシアーシャ・ローナンは、『ニキータ』のアンヌ・パリロー、『レオン』のナタリー・ポートマンに続き、強烈なインパクトを残した。

脳裏に焼き付く「心臓、はずしちゃった。」というハンナの生き様がそのまま表れているかのようなオープニングとラスト。

そんな“無垢で透明感あふれる敏腕暗殺者”と対照的ともなっているのが、魔女のような出で立ちで迫るCIA捜査官マリッサ演じるケイト・ブランシェット。ジョー・ライトは実際にグリム童話のおとぎ話になぞらえて撮ったということだが、「サスペンス・アクション×おとぎ話」という異色を放つ一本になっている。

『ハンナ』には映画を観に行ったときにはあまり感じない音楽における“ライヴ感”を強く感じることが出来た。ジョー・ライトはケミカル・ブラザーズの長年のファンとのことだが、映画における音楽監督は初挑戦となる彼らは、ハンナの繊細かつ複雑な心理状態を見事に表現した。

ハンナがCIA内部から脱出するシーンでは、背景や照明も工夫され、彼らの十八番とも言えるノイジーで重低音の効いたサウンドと映像が展開される。鳥肌が立ち、アクションシーンを観ているのか、突如としてダンス・フロアに引きずり込まれたのか、よくわからない感覚にすらなった。