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Webディレクター/デザイナーtakasyiのシネマアーカイブ。単純に観た映画を覚えとく手段のひとつになるメモ書き程度のテキスト。休みの前の日に、夜中遅くまで映画観るのとかたまらんですよね。

マチェーテ / MACHETE

MACHETE

4

2010年 / アメリカ
監督:イーサン・マニキス / ロバート・ロドリゲス
脚本:ロバート・ロドリゲス / アルヴァロ・ロドリゲス
出演:ダニー・トレホ / ジェシカ・アルバ / ロバート・デ・ニーロ / スティーヴン・セガール / ミシェル・ロドリゲス / ジェフ・フェイヒー / ドン・ジョンソン / シェー・ウィガム / リンジー・ローハン / チーチ・マリン

マチェーテとは“ナタ”という意味なんだけど、それを振り回すのはロバート・ロドリゲスに「すごい顔の持ち主だから彼しかいない」と呼ばれる主演の強面男優ダニー・トレホ。冒頭からそりゃもう飛ばしまくりで、結論から言うとむちゃくちゃ面白かった。グラインドハウスからの演出の流れもあるだろうけど、久々に"映画"ってこういうものなんだなぁ〜、と感じて鼻息荒く観れた1本でした。

どーせ下品でキモくて好き勝手に暴れ回っちゃってるだけでしょ?と思うなかれ、メキシコとの国境沿いで起きてる不法移民や人種差別などの社会背景に対しての政治的メッセージもあって、映画として重要な役割も果たしている。

キャスティングの時点でもうヤバさは伝わってくるけど、キャストがそれぞれで最高のパフォーマンスを発揮してると感じる映画もそうない。ダニー・トレホの存在感は言わずもがな、ロバート・デ・ニーロのかわいいウサギ跳び、極悪麻薬王のスティーヴン・セガールなどを見れるのは後にも先にもマチェーテだけだろう。

そして触れるべきはやっぱりロバート・ロドリゲスが作り出すエロさ。なぜあそこまでエロくなってしまうのか。いや、エロさエロさって言ってるけど、おねえちゃんの裸がどうのこうのとかじゃなく(全裸もたくさん出てくるけど)、看護師やシスターがマシンガンぶっ放してたり、全編を通して垣間見るセクシーなジェシカ・アルバ、リーダーとして登場した時のミシェル・ロドリゲス、変態一家のブースファミリーなどなど盛りだくさん。

とはいえ、次々に首が吹っ飛んだりとか目の前でショットガンぶっ放しちゃったりとか、銃を持ってる手をぶった切ってそれで撃っちゃったりとか、腸をえぐり出してロープ代わりに下の階へ行っちゃったりとか特徴的なスプラッターも全開。

東京島

東京島

2

2010年 / 日本
監督:篠崎誠
脚本:相沢友子
出演:木村多江 / 窪塚洋介 / 福士誠治 / 柄本佑 / 木村了 / 染谷将太 / 山口龍人 / 南好洋 / 結城貴史 / 清水優 / 阿部亮平 / テイ龍進 / 鶴見辰吾

オープニングの木村多江。

インセプション / INCEPTION

INCEPTION

4

2010年 / アメリカ
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
出演:レオナルド・ディカプリオ / 渡辺謙 / ジョセフ・ゴードン=レヴィット / マリオン・コティヤール / エレン・ペイジ / トム・ハーディ / キリアン・マーフィ / トム・ベレンジャー / マイケル・ケイン

テーマとなるのは「他者の夢に入ってアイデアを盗んだり植え付けたりする」といういわば超SF的要素が押し出されるが、作品にリアリティを追求し続けるクリストファー・ノーランはその対象をパーソナルに当て、見事な世界観を構築している。

クロスカッティングや逆行する時間、「ダークナイト」を思わすような重低音を響かせた音響などなど、クリストファー・ノーランが得意とする表現が効果的に多く登場し、思う存分“他者の潜在意識”に触れる感覚を与えてくれる。コブがアリアドネに夢を設計し共有することを教授してるシーンは鳥肌が立ちっぱなしだった。よくは見えてないけど、夢の背景って確かにあんな風になってるかもー!とゾクゾクしっぱなしだった。さらにアリアドネはその概念を覆そうと、設計上重力をなくしてみたりして独特な視覚効果で奇妙な世界へ連れて行ってくれたりする。

大きなポイントとなるのが夢に“階層”があるという部分。夢を見てる中でさらに夢を見て夢を見る。いつか見た夢で自分もそんなことをやってたんじゃないかなと思ったりする反面、それぞれの階層で起こっていることがすべての夢に関連付けされ反映される、今見てるシーンは何階層目だったっけ?あの一件ってそもそも夢だったっけ??などなど、クリストファー・ノーランの真骨頂とも言うべき複雑化する構成となってるんで、ある程度の整理も必要になってくるかもしれない。ボケーっとできるヒマなど一切なく、2時間30分のアイデア植え付け大作戦が加速する。

コブ役のレオナルド・ディカプリオもスコセッシの「シャッター・アイランド」といい、複雑な背景がある“切ない男”という難しい役回りが続くけど、とても良かったんじゃないかと思います。意外にも重要な立ち位置で登場する渡辺謙も堂々たる存在感でした。

告白

告白4

2010年 / 日本
監督:中島哲也
脚本:中島哲也
出演:松たか子 / 木村佳乃 / 岡田将生 / 西井幸人 / 藤原薫 / 橋本愛 / 新井浩文 / 山口馬木也 / 黒田育世 / 芦田愛菜 / 山田キヌヲ

冒頭のホームルームのシーンから鳥肌もんでした。スローモーションを多用した映像に恐ろしく美しく見事に突き刺さる森口先生の告白。松たか子はむちゃくちゃハマり役じゃないですか。いろいろあるけどスッキリしました。ガッツポーズ。傑作なんじゃないでしょうか。

アリス・イン・ワンダーランド / ALICE IN WONDERLAND

ALICE IN WONDERLAND

4

2010年 / アメリカ
監督:ティム・バートン
脚本:リンダ・ウールヴァートン
出演:ミア・ワシコウスカ / ジョニー・デップ / ヘレナ・ボナム=カーター / アン・ハサウェイ / アラン・リックマン / マイケル・シーン / クリストファー・リー

「小さな女の子が奇妙なキャラクターの言いなりになって彷徨い歩くだけのストーリーにはあまり魅力を感じない」とティム・バートンが言い放ち、「原作のアイデアを使って、根底にあるスピリットを描くこと」に狙いを定め、「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」からエピソードやキャラクターなどのエッセンスを引き出し、丸っとそのままティムのポップかつ毒々しい世界観をぶち当てた。

そんな彼のセンスが炸裂しつつ、キーとなってくるのは“19歳のアリス”、“アリスの心の成長”、“赤の女王と白の女王の対立構造”などが挙げられるが、ワンダーランドで繰り広げられる冒険活劇はストーリーも複雑化はさせずにいたってシンプル。「でもここの面白いところは、あらゆるところがほんのちょっとだけズレているところにある」とティムも語るように、アリスがワンダーランドで子供と大人の境目をもがいてる一方で、観客もいわば“不思議な世界”に招待されるかのよう。

IMAXシアターで3D鑑賞だったわけですが、衣装デザインのマジックにかかるだけでもお腹いっぱいになっちゃう人も多いんじゃないでしょうか。特に身体が小さくなったり大きくなったりするアリスの衣装は必見と思います。白の女王演じたアン・ハサウェイも文字通り真っ白でキレイでした。