cinema | roughtab

Webディレクター/デザイナーtakasyiのシネマアーカイブ。単純に観た映画を覚えとく手段のひとつになるメモ書き程度のテキスト。休みの前の日に、夜中遅くまで映画観るのとかたまらんですよね。

トゥルー・グリット / TRUE GRIT

TRUE GRIT

4

2010年 / アメリカ
監督:ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン
出演:ジェフ・ブリッジス / マット・デイモン / ジョシュ・ブローリン / バリー・ペッパー / ヘイリー・スタインフェルド / ブルース・グリーン / デイキン・マシューズ / ジャーラス・コンロイ / ポール・レイ / ドーナル・グリーソン / エリザベス・マーヴェル / レオン・ラッサム

1968年にアメリカのザ・サタデー・イブニング・ポスト紙で連載が始まり、その当時に生きた人々の“アメリカ魂”を描いてベストセラーとなったチャールズ・ポーティス著の小説『トゥルー・グリット』は、翌年の1969年にジョン・ウェイン主演で映画化(『勇気ある追跡』原題:True Grit)もされ、不朽の名作となる。

物語は父親を殺された14歳の少女マティ・ロスが犯人捜しを固く決意し、初老の大酒飲み連邦保安官ルースター・コグバーンと若いテキサスレンジャーラビーフと共に追跡の旅に出るというもので、これらを自らの“追跡”というテーマに通じてジョエル&イーサン・コーエンがより原作に近い格好で再映画化に挑んだ。スティーブン・スピルバーグも製作総指揮に名を連ねている。

とはいえコーエン兄弟は「僕らが作るのは映画のリメイクではない。チャールズ・ポーティスが書いた原作の新たなバージョンを作るんだ。」と主演でルースター・コグバーン役のジェフ・ブリッジスに話したという。

『トゥルー・グリット』は今回のコーエン兄弟の作品が初見だったので、ジョン・ウェイン主演のもぜひ観てみたいと思うんですが、全体を通して直感的で文学的な印象を受けつつ、“彼らのいつものリズム”はしっかりと感じることが出来た。『ノーカントリー』が“追われる側の緊迫感”だとしたら、『トゥルー・グリット』は“追う側の緊迫感”を充分楽しむことが出来た。

コーエン兄弟の映画には『ビック・リボウスキ』以来の登場となったジェフ・ブリッジスのコグバーンっぷりったらなかった。パンを投げて撃つシーンは完全に酔っ払ってたとしか思えない。最初は2人からバカにされたり、小屋を訪ねるシーンも気の毒だったけど、どんどん距離が遠くなる射撃を決めちゃうラビーフを演じたマッド・デイモンも光ってました。そして1500人のオーディションから選ばれたマティ・ロス役の新人女優ヘイリー・スタインフェルド。旅に出る前の商談シーンとか圧巻だったなぁ。彼女の今後がすごく楽しみです。

SOMEWHERE

SOMEWHERE

4

2010年 / アメリカ
監督:ソフィア・コッポラ
脚本:ソフィア・コッポラ
出演:スティーヴン・ドーフ / エル・ファニング / クリス・ポンティアス / ララ・スロートマン / クリスティーナ・シャノン / カリサ・シャノン / アマンダ・アンカ / エミリー・ケンパー / ミシェル・モナハン / ベニチオ・デル・トロ

90年代、ロックスターや俳優が荒らしたという話が聞こえてくる伝説的なホテル“シャトー・マーモンド”ですさんだハリウッドセレブ生活を送る俳優の父と、ティーンエージャー一歩手前の娘が過ごすかけがえのない日々を描いたハートフルドラマ。脳裏にオーバーラップするのは『ロスト・イン・トランスレーション』だけど、今作でも孤独にうつろう男の心を繊細に映し出した。

ソフィアはオリジナル脚本を映画化した『ロスト・イン・トランスレーション』と『SOMEWHERE』の2作について、原作を映画化した作品に比べて、よりパーソナルな作品になっていると話している。一般的に華やかなイメージが先行しがちなセレブな生活の本当の姿の一部を表してるのかもしれない。

そういった要素があるだけに、ソフィアが描くシーンの独特の間だったり、些細なセリフ・仕草や事柄だったり、すべてのシーンが山場のように感じる。スローなテンポをまったく感じさせない。特にオープニングはずっと脳裏に焼きつきそうな、とても印象の強いものだった。

“空っぽ”なジョニー・マルコを演じたスティーヴン・ドーフ、すごく良かったんじゃないかと思います。カメオ出演であのお方が。あとクレオを演じたダコタ・ファニングの妹であるエル・ファニングが可愛すぎた。

キック・アス / KICK-ASS

KICK-ASS

4

2010年 / イギリス=アメリカ
監督:マシュー・ヴォーン
脚本:ジェーン・ゴールドマン / マシュー・ヴォーン
出演:アーロン・ジョンソン / クリストファー・ミンツ=プラッセ / マーク・ストロング / クロエ・グレース・モレッツ / ニコラス・ケイジ / ギャレット・M・ブラウン / クラーク・デューク / エヴァン・ピーターズ / デボラ・トゥイス / リンジー・フォンセカ / ソフィー・ウー

だいたい思い描くヒーローって、ここぞというときにはただならぬ力を発揮したりして敵をやっつけちゃいますが、このキック・アスというヒーローはそこらへんにいる悪ガキにナイフで刺されちゃいます。そんな導入部。

やはり話題の中心となるのは11歳の殺し屋ヒット・ガール。こんな幼い少女が大男を抜群のテクニックで次々と殺していったり、下品な言葉を使ったりしちゃったりしてたまらないわけですが、このへんをどう受け入れるかでざっくりとした評価が分かれちゃうんだろうなぁとは思いました。

防弾チョッキの耐久性を確かめさせるために娘ヒット・ガールに着せて撃つ父親ビッグ・ダディ。あんな仲の良い親子の登場シーンは自分の娘を撃っちゃうシーンですからね。ブッ飛んでる。

全編を通してビッグ・ダディのクソ真面目な立ち回りが良かった。終盤にかけては見違えるくらい立派に感じるようになってたキック・アスが、前半はあんな感じだったから余計に。

シリアスマン / A SERIOUS MAN

A SERIOUS MAN

4

2009年 / アメリカ
監督:ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン / イーサン・コーエン
出演:マイケル・スタールバーグ / リチャード・カインド / フレッド・メラメッド / サリ・レニック / アーロン・ウルフ / ジェシカ・マクマナス / アダム・アーキン / エイミー・ランデッカー / フィヴァッシュ・フィンケル / アレン・ルイス・リックマン

超一流のキャストを並べたド派手なブラックコメディ『バーン・アフター・リーディング』に続く『シリアスマン』では、主演に映画界ではほぼ無名なマイケル・スタールバーグを抜擢し、平凡で真面目な中年ユダヤ人物理学教授ラリー・ゴプニックの転落スパイラルなヒューマンドラマを描く。

『シリアスマン』のベースにはコーエン兄弟の少年期のルーツを辿る要素がある。そこに、憎めないんだけどなんかちょっとイラッとして癖になる各キャラクターであったり、ドミノ倒しのように次々に不条理で厄介なトラブルに巻き込まれたり、背筋が凍るような凶暴なビジュアルを突きつけてきたり、シュールなユーモアをテンポ良く放り込んできたりと彼らの作品では“おなじみ”のシーンもたっぷり盛り込まれている。言わば『シリアスマン』はブラザー・コーエン・パックのようなもので、思う存分楽しめる内容でした。

100年前のポーランドの小話、駐車場の話、歯科医の話、「あなたに起こることすべてをあるがままに受け入れなさい」、サイ・エイブルマン、シュールリアリスティック・ピロー。

TUNAMI -ツナミ- / HAEUNDAE

TUNAMI -ツナミ-

2

2009年 / 韓国
監督:ユン・ジェギュン
脚本:ユン・ジェギュン
出演:ソル・ギョング / ハ・ジウォン / パク・チュンフン / オム・ジョンファ / イ・ミンギ / カン・イェウォン / キム・イングォン

高さ100m、時速800kmの“メガ津波”。そんなコピーでプロモーションしてるんだから、パニックパニックした津波の襲来を期待し、巨大な波や海水をどういう風に表現してるのかがずっと気になってましたが、フタを開けてみると各キャラのエピソード多し。子供が転けて助けに戻ったお父さんが蛇に睨まれたカエル状態になるシーンは鳥肌立ちました。橋の上で一服しようとした兄ちゃんのせいでもっと犠牲者が出てたハズ...。