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園子温『ヒミズ』鑑賞

ヒミズ

“年が明けて一発目に劇場で観る映画”というのを大事にしていて、記憶にとどめるようにしているんですが、ここ数年だと2009年『WALL-E』、2010年『カールじいさんの空飛ぶ家』、2011年『ゴダール・ソシアリスム』という具合できていて、2012年は園子温最新作『ヒミズ』となりました。

現代の青春像を描きたいという思いだけでした。それを意識していると、こういった作品に仕上がりました。僕は中学生って本当に良いなって思うんですよ。漫画の中だと、主人公たちはセックスとかにも目覚めていくのだけれど、この映画の中では、それ以前の性的目覚めの前の段階として、純粋に人生を悩んでいるだけの2人にしたかったんです。彼らは、大人と違う悩み方をする子供なんです。もともと日本にしか青春映画なんて括りはないので、大人になろうとしている子供たちの話を描きたかったんです。

via: 園子温

ヒミズ 2

“素晴らしい青春映画”と“いつまでも心に残る映画”が同時に2つ誕生した。染谷将太と二階堂ふみのスクリーンから溢れ出さんばかりのエネルギッシュなラストシーンがあまりにも胸に突き刺さりすぎて、しばらくどうすることもできずに劇場の椅子から動けなかった中、そんな風に感じていました。

園子温監督初となる原作ものとなって、古谷実×園子温の『ヒミズ』が生まれたわけだけど、撮影中に東日本大震災が起きたことで、原作に基づいて用意していたシナリオを描き直したという。ここが大きなポイントとなっているのは言うまでもないけど、10年前の『ヒミズ』ではなく、2012年の『ヒミズ』になっている。若い男の子と女の子が直面する葛藤や悩みの行く末を爆発させる青春映画の本質に触れると同時に、今の日本やこれからを背負って立つ若者に向けて、映画という格好でこれ以上ないメッセージを届けていると強く思いました。

「がんばれー!」という、日常的で既にありふれてるはずの言葉が、これほどまで力強く響き渡るものなのか。しつこいようだけど、“園子温版”の住田と茶沢のクライマックスでのランは、そういう意味で破壊力がありすぎて、余韻からなかなか抜け出せません。

ヒミズ 3

『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』などなど、園作品には“言葉にならない圧倒的な描写力と演技力”で打ちのめされることが多いけど、もはや彼の作品には欠かせない俳優さんたちの表現力も素晴らしかった。でんでんしびれた。光石研しびれた。

そんなたくさんの豪華な個性派に囲まれ、よりいっそう主役の2人が強烈に映ったということもあるだろうけど、染谷将太と二階堂ふみは第68回ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞をダブル受賞したことは深くうなずける。

そんな若い俳優の体を張った感情のぶつけ合いをスクリーンで観ずしてどこで観るのかっ!とか思ったり書いたりしてたら、また観たくなってきました。“素晴らしい青春映画”と“いつまでも心に残る映画”が同時に2つ誕生したと思うぐらいだから、当たり前か。

ヒミズ 4

category

Movie

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