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THE OUTLINE 「見えていない輪郭」展 - 深澤直人 藤井保

THE OUTLINE 「見えていない輪郭」展

現在東京ミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHTにて開催されているプロダクトデザイナー深澤直人と広告写真のパイオニアとして知られる藤井保の「THE OUTLINE 見えていない輪郭」展に行ってきました。

展覧会概要

人々が期待するものの形をぶれることなく描く、プロダクトデザイナーの深澤直人。人々の無意識の要素から「ものの輪郭」を割りだす独自の活動は、広く注目を集めています。広告写真の第一人者にして、光や空気にとけているものの輪郭をみごとに描く、写真家藤井保。あたり前のようでありながらも私たちに見えていない「デザインの輪郭」が、二人の活動から浮かびあがります。
深澤直人デザインのプロダクト約100点と、藤井 保が4年間撮り続けた、それらの写真約70点によって誰もが知りたかった「デザインの輪郭」を解きあかす、かつてなかった試みです。

via: 21_21 DESIGN SIGHT

ということで、会場内には深澤直人が手がけたプロダクトと藤井保が撮った写真が絶妙なライティングとともに展示されていて、不思議な空間を醸し出してました。

THE OUTLINE 「見えていない輪郭」展 2

人には輪郭がはっきりと見えてない - 深澤直人

アウトラインとはモノの輪郭のことである。
その輪郭はそのモノとそれを取り囲む周りとの境目のことでもある。
そのモノを取り囲んでいるのは空気だから、そのモノの形をした空気中の穴の輪郭はそのモノの輪郭と同じである。
空気はそのモノの周りに漂う雰囲気を示す比喩である。
この空気(雰囲気)は、そのモノの周りに存在するあらゆるもの、たとえば人の経験や記憶、習慣や仕草、時間や状況や音、技術や文化、歴史や流行などの要素で構成されている。
それらの要素のたった一つが変わってもモノの輪郭は変わる。
人はその空気の輪郭を暗黙のうちに共有している。
わたしの役割はその輪郭を割り出し、そこにぶれなくはまるものをデザインすることである。
藤井さんの写真を最初に見たとき、そのはっきりとしないモノの輪郭に驚いた。しかし、考えてみればモノは空気や光に溶けているから、人には輪郭がはっきりと見えてないことに気付いた。
その事実を知って感動した。藤井さんはたとえモノを撮っていても風景を撮っているんだと思った。わたしのデザインと一緒にその周りの空気を撮っている。藤井さんには、みんなが知っているけど見えてない輪郭が見えている。

via: 深澤直人

本当に必要なもの - 藤井保

深澤さんとの出会いは、雑誌『モダンリビング』の連載で、深澤直人デザインのプロダクトを3枚の写真で構成する企画からである。
現在で22回目、隔月刊なので、約4年間そのキャッチボールは続いている。
彼の書物の中に、週末を過ごすための自作の山小屋には電気も水道もないという話がある。その不便さの中で生活することで本当に必要なものは何かが見えてくるという。
これほど、最先端の工業製品をデザインしている人間が、その便利さと逆の環境に身を置いて思考をしている。僕は、そこから生まれた表現も言葉も信用できると思った。
人には、自己否定も、自然に対しての謙虚さもまた必要なのだ。"モノ"は何も語らないが、実はその背後に多くの言葉や物事の真理がひそんでいる。装飾としては無縁なプロダクトの実在を前にして、僕は風景や彫刻をみるように写真を撮っている。

via: 藤井保

THE OUTLINE 「見えていない輪郭」展 3

実際に展示してる作品と解説を見ていくと、普段の生活の中でいかに“デザインのアウトライン”が見えてなかったんだなと気付かされる。藤井氏の写真には、そのモノとその周りの空気や関係性などが写り込んでいるので、より深澤氏のプロダクトの"見えていない輪郭"を写し出していた。
そういう意味ではボクたちの日常生活にも密に関連してることなので、考え方や視点をずらして今まで見てきた"モノ"をもう一度見てみる、というような楽しみ方を心地よく提示してくれた展覧会だなとも感じました。1月いっぱいまでなので、興味ある方はぜひ!

category

Design

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